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山とかトレランとか

五竜岳・唐沢岳

一泊二日、テント泊で五竜岳と唐沢岳を縦走した。1日目は夜行バスで白馬村、ロープウェイに乗ってアルプス平駅まで、そこから登山開始して五竜山荘まで行き、テントを設営した後五竜岳まで往復。2日目は五竜山荘から唐松岳唐松岳から白馬八方まで行ってロープウェイで下山という行程。帰りはあずさでその日のうちに東京まで。

立山はバスと鉄道の両方が使えて、さらにロープウェイが3つもあるので登山が非常に楽。アルプスでそういう山ってあまりないんじゃないかな・・。南アルプスはロープウェイがないし、上高地は車でしか入れないし、立山は遠いし。中央アルプスについて言うと東京から終バスで駒ヶ根に行ってそのまま深夜に空木岳に向けて登山開始、さらに千畳敷まで行ってロープウェイで下山というのを一度やったけど、空木の登りは相当ハードだった。後立山には個人的にクールな印象を持っていて、行きも帰りもロープウェイを使った今回の山旅は、テント泊ということで荷物は重かったけど楽しいところだけを切り取った非常に贅沢な感じがした。

0日目は新宿バスタから夜行バスに乗車。バスタは混雑していた。バスは新しい車体で綺麗だったが、一番後ろのトイレの前の席でリクライニングの傾きが小さい席だったせいか、あまり寝られなかった。同行した友人は後ろが無人の席だったこともあり席を思いっきり傾けていて、休憩の時も降りてこない有様で、夜行バス史上一番寝られたと言っていた。

素晴らしく天気が良かった。唐沢岳、白馬三山、それから反対側に頸城山塊と戸隠連峰がよく見えた。雨飾、火打、妙高には行ったことがあったので感慨深かった。

ロープウェイのアルプス平駅からは、遠見尾根という尾根道を歩く。森林限界を超えているのかいないのかはっきりしない道だったが、開けた箇所も多くて、山脈の中途にどっしりと構えた五竜岳の山容が、その名の通り遠くによく見えた。

しばらく歩くとカール地形が見えてきて、この中を歩くのかなと一瞬不安になったが、そんなことはなくて、カールの右縁が登山道になっていて、そこを進んだ。遠見尾根は傾斜の緩いなだらかな尾根道だったが、それを超えてカールに差し掛かると一気に険しく急になり、ペースが落ちた。白岳というピークが後立山の主稜線にあって、それを超えると五竜山荘にたどり着く。

ネットの噂によると14時まで喫茶をやっていてチャーハンが食べれるとのことだったが、喫茶はやっていなかった。しょうがないのでテントを立ててから持参したカレーメシとかインスタントラーメンを食べた。フォークを忘れてしまったので、山荘で売っていたいなりずしを買って、それについてきた割り箸を使うことにした。

ご飯を食べたら五竜岳の山頂へ。山荘から山頂までの道は、思っていたよりもずっと岩場で、危険な道だった。来る前は山頂でご来光チャレンジしようかななどと考えていたが、全くそんな気は失せた。長野県の山のグレーディングによるとこれは技術的な難易度は5段階中の3段階目とのことで、涸沢経由の奥穂高と同じらしい。五段階で考えるとそんなものかなと思いつつ、ザイテングラートよりは怖いような気もした。

山頂についても相変わらずの快晴で、近くには北アルプスの山々が一望できたし、遠くには南アルプス中央アルプス八ヶ岳、さらに富士山も見えた。それでしばらく山を眺めていた。山に登ってすることがどこか遠くの別の山を眺めるというのは、いつまで経っても本質に辿り着けない玉ねぎのような人生を思わせるが、山の上で静かに流れる雲を感じて風の音を聞き、雄大な景色の中に埋もれて自分を忘れる時間というのは、非常に満ち足りた思いをもたらしてくれるということもまた事実だった。

山荘に戻って夜ご飯。米を持参していたが、山荘に着いたときに水に浸けておこうと思っていたのをすっかり忘れていて、焦って水を入れて炊いてしまったせいで、芯の硬い生煮えの米になってしまった。もうめんどくさいので次はサトウのご飯にしよう、という話をした。

夜、雨は降らなかったが、風が強く、テントが揺れるのが不安を煽って頻繁に目が覚めてしまった。心配していた程の寒さはなかった。

朝ぼらけ、まだ暗いうちからテントを片付けて山荘を出立。何も考えていなかったので、山頂とかではなくよくわからないところで日の出を迎える。燃えるように赤い朝焼けを受けた上空の雲と、下界はるかに見渡す雲海が見事だった。後ろを振り返れば五竜岳が、遠見尾根から見た時とはまた違った、重厚な山体を見せてくれるのだった。

唐松岳までの道で急に眠気が強くなってしまって、半分寝ながら山頂まで歩いた。夜行バスでは確かに寝られなかったが、テントではそれなりに睡眠が取れていたはずと思って、さらに今までの登山で歩いている途中にそこまで眠くなったことがなかったので、不思議だった。

唐松からの下山道は行きの遠見尾根と比べておしゃれというか整備されていて綺麗な道だと思った。心なしか歩いている人も、ロールトップのザックばっかりで、センスのいい服とギアを身につけているような気もした。八方池まで着くともう観光地で、人が多かった。実際この日の八方池からは不帰も白馬も良く見えて素晴らしかった。

下山後はご飯を食べて温泉に入って白馬駅からあずさに乗って帰った。白馬から新宿まで直通のあずさに乗れたのが、ちょっと嬉しかった。