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山とかトレランとか

社会学はどこから来てどこへ行くのか

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事実とは何か。理解とは何か。―社会とは何か。理論と方法の根源に遡行し、「社会問題」の現場へと向かう。社会学界を牽引する4人のトップランナーによる、白熱の徹底討論!

過去の有名な社会学者や社会学の理論について特に説明なく出てくるので、素人としては理解が難しい。脚注もあるがそれだけでは分からなかったし、脚注の付け方を見てもターゲットがいまいち謎だと思った。社会学専攻の学生が読むと良いのかな。ただ、理解とはなにか?とか社会学者は何をすべきなのか?という議論は普遍的な話で興味深く読めた。

社会を理解することについて、「質的」代表の岸先生が述べていた、理解とはディテールを積み重ねること、という説明が個人的な関心とつながって印象に残った。というのは、自分のスタンスとして、(特に仕事で)人と話すときは事実を簡潔に述べたほうが良い、と思っていて、とはいえそれでうまく伝わらないこともあって(そもそもコミュニケーションが下手ということも大きいが)、上司からはもっと説明する能力を身に付けなさいということを言われたりした。グダグダ長ったらしく話をするのもされるのも嫌い(コミュニケーションが下手だから)なのでそういう考えになったのだが、実際立場の近い人間とはうまく意思の疎通ができるが、そうではない場合に足りなかったのは、つまりこのディテールを積み重ねることだったのだと思う。

ディテールとは何か。何が書いてあったかもう思い出せないが・・・

ブルデューだと階級レベルで、ウィリスだと学校という場で、その場で作動している社会的ゲームが複数あって、どれで勝とうとするかはわりとその人なりに決まっている、そこは「差異化」とかって呼ばれている部分なんですけど、1つの場で、複数の社会的ゲームが走ってて、各自は自分が勝とうとするゲームに参加するわけです。同じ場にいたとしても、実は違うゲームに参加していたりする。

立場とは重層的なもので、しかも人間は単一の価値を追い求めることは少なくて、複雑な利害関係の中で、自分にとって最適な行動を選択する。社会や人間のディテールの一つには、どういう立場にいてどういう立場にいないのか、どういうことに価値を感じていて一方価値を感じていないものは何か、ということがある。理解とは、相手の立場だったら自分も同じことをするだろうな、と合理的に判断できること、と本のどこかで書かれていた。

本題の、社会学とは何でどうしていくべきかということについては、何となく分かるが、言葉にうまくまとめられない程度の理解しかできなかった。結局知識が足りないのだが、それでもこの本は面白くて、ついつい読んでしまった。